ドロッチェと、ドクロ団の一員である一人のドクロンとの間にあった因縁の話。3。
時期的には『あつめて』の冒険中での出来事であり、内容としては「勇者の心」から見たドロッチェの話なのですが、ネクロディアスを倒したその後のカービィが回想しているという形になっています。(※我が家設定では、元に戻ったカービィは『あつめて』冒険中の10人カービィと勇者の心、11通りぶんの並列する記憶をすべて持っています)
無事に元の姿に戻れたカービィはドロッチェと恋仲になり、少しずつ二人の関係が深まっていく頃。
ドクロ団の残党たちが暗躍を始め、ネクロディアス復活を目論むドクロ団に、ドロッチェが捕らわれてしまう。目の前で大切な人が奪われたのに何もできなかった悔しさを振り払い、彼を取り戻す決意を固めたカービィに、ストロンから「これ、お守り。」との言葉と共に、ポポポアイランズでの冒険の最後に手に入れた一枚のメダルが託される。再び姿を現したネクロネビュラへと向かう途中、カービィはまだ「勇者の心」だった時に居合わせた出来事を思い出す。
(※いろいろと書き途中のメモが交じってます…▽)
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…かつて『虹の秘宝』と呼ばれたその色褪せたメダルを受け取った時、思い出したことがある―――…
それは、第4の島を支配していたドクロ大王を倒した後のこと。
『 … … …皆、よく寝てる。…今日は大変だったから…今はゆっくり、休んでおかないと…ね』
ドロッチェ団の飛行船。 ぐっすりと眠る10人のカービィたちを見下ろして、『勇者の心』はふわりとその身をまたたかせた。
眠りに落ちる直前までカービィの武勇伝を聞きたがった沢山のチューリンたちも、彼らをまとめるストロンやスピンも、皆、安らかな寝息を立て始めている。穏やかな光景に、自然と “心” が温かな輝きに満たされていく。
…ドロッチェが言っていた、虹色のメダルに秘められた不思議な力って、いったいどんなものなんだろう…? 少し話を聞いてみたくなり、『勇者の心』はそっと眠るカービィたちの元から離れた。
「――― …少し、風に当たってくる」
「…… 一人で大丈夫か? ドクロ団の奴らが、いつ、どこに潜んでいるのか分からないのだぞ?」
「そんなに遠くには行かないさ。…船と、皆をよろしくな」
艦橋の手前で、ドロッチェとドクの二人の会話が聞こえてきた。扉が開き、ドロッチェが廊下に姿を現す。
『……ドロッチェ……?』
艦橋に続く扉を閉めたその時、『勇者の心』は、暗い廊下の中でドロッチェの顔がほんの少し歪んだのを確かに見た。
輝きを潜めたままの『勇者の心』に珍しくまったく気付いた様子もなく、ドロッチェはマントを翻すと同時に姿を消した。…なんとなく気になって、『勇者の心』は彼を追って飛行船の外へと飛び出していた。
遠くには行かないと言っていたのに、ドロッチェを見つけたのは、彼らの飛行船から随分離れた地点だった。―――彼は、闇の中から響く声に向き合っていた。
「……よくここが分かったね、ドロッチェ……。…私の声が聞こえでもしたのかな…?」
「…ただの散歩だ。―――お前たちと違って、出歩くのに不自由は無いのでな」
ドロッチェの前に居たのは、一人のドクロンだった。『勇者の心』は驚き、思わず身を潜めて、二人の会話に耳を澄ませる。
暗い笑い声を上げていたドクロンから、ゆらり、と怒りの波動を感じた。…今までに幾度となく戦ってきたドクロンとは、少し様子が違う。空虚な瞳に、はっきりとした怒りと憎しみを込めて、ドクロンはドロッチェを睨む。
「…まさか……君が、これ程まで、“この星” に肩入れするとは…思わなかったよ」
「あいつには、返しきれない『恩』がある。―――……恩があると言うのなら、あんたにだってそうだったんだがな…」
ドロッチェの声に、ほんの少し、寂しげな響きが混じる……。 しかしそれは一瞬で、顔を上げたドロッチェは、険しい顔でドクロンを見据える。
――・――――・――――・――
(独り言)
以前世話になった恩義ある年長者、格上の相手=「あんた」呼び
今や敵となった者、自分と同格に見る相手=「お前」呼び
という感じの使い分け。ドクロンに対してはこれが最後の「あんた」呼びになるかも。
※カービィが「お前」でギャラクティックナイトが「あんた」なのも、
自分と対等な存在として見ているか、自分より格上の存在として見ているかの違い。
…ドクロンのほうは、普段は「君」で、完全に敵対した時は「お前」になる…かな。
二人の会話は、平行線のまま、少しずつ不穏な空気になってゆく。
――・――――・――――・――
「…なにを馬鹿な事を。 我々は、ネクロディアス様に従うだけ……」
「…だけどね、ドロッチェ……。―――私は、君だけは、どうしても許せない気分なんだよ……ッ!」
「…………。」
ドクロンの気迫に押されるように少し身を退いたドロッチェの手には、いつの間にか、愛用のロッドが握られていた。
『…ドロッチェっ!』
黙って見ていられず、『勇者の心』はドロッチェの前に飛び出した。突然の乱入に驚いた顔をしたものの、二人はお互いに向ける攻撃の手を止めない。
ドロッチェのアイスレーザーがドクロンを直撃し、ドクロンは苦々しく顔を歪めながらもついには退散する。
「―――助かったよ」
どう声を掛けていいのか分からずにまごつく『勇者の心』に、ドロッチェはそう言って軽く笑い掛けた。
(※ドクロンとの出会いについて、ここで聞くか、後に彼を倒した後に聞くか、まだ考え中…)
ドクロンが消えた暗がりを見遣り、ドロッチェはそっと眼を伏せる。
「…奴の、声……。…よく似たものを、聞いたことがある。―――以前 “お前” に助けられた、あの時に……」
『勇者の心』はドロッチェを見た。…彼らドロッチェ団と初めて出会った時の冒険、あの時彼は―――闇に、魅入られた。
「……どうして、“闇” は……決して相容れることないものを、求めるのだろうな……」
『ドロッチェ……』
―――星の輝きを求める、闇からの声。
それは、 “カービィ” も、よく知っていた。己の存在できる場所を広げようとする闇たちの、切ない程に響く声。…だけど、決してその声に屈してはならないのだ。この星のため、この星に生きる者たちの―――そして、自分自身のために。
――…優しい人。決して相容れることはないと、そう理解していながら、でも、相容れることが出来ないその事を、悲しいと感じてくれるんだね……。
まるで祈りを捧げるように、静かに眼を閉じるドロッチェを見つめて、『勇者の心』はほのかにまたたいていた。
本来の姿と違って、今は身体など持っていないのに、胸が……心の底が、熱くなる。…そんな気がした。彼を前にしていると、何度も感じた事がある、不思議な感覚。
嬉しくて微睡むような、でも口惜しくて焦るような……幸せなようでいて、落ち着かない気分。……その『心』の名前を、 “カービィ” は、まだ知らなかった。
……ふうっ。と、ドロッチェが溜まっていた息を吐いて、軽く首を振る。
「もう夜も遅い。お前も今日は疲れているだろう、早く戻って休まないと―――カービィたちはもう眠っているんだろう? お前があまり動いていたり離れたりすると、あいつらまで起こしてしまうんじゃないのか?」
『―――……よく知ってるね、ドロッチェ』
ちょっと驚いて、元の姿だったらぱちくりと瞬きしているかのように、『勇者の心』がその輝きを点滅させる。ドロッチェが肩を竦め、笑みを浮かべた。
…『勇者の心』が思わずどきりとしてしまうような、微笑みを。
「短い付き合いとはいえ、それくらい分かるようになるさ。…さ、戻るぞ」
『あ、うん―――』
ごく自然に伸ばされたドロッチェの手が、『勇者の心』に触れるか触れないかの位置で彼を促し、二人はゆっくりと飛行船に向かって歩き始めた。ドロッチェの後を付いて行きながら、『勇者の心』は、そっとまたたきを繰り返す。
――やっぱり、…優しいね。
…そんなキミだから、ボクは――――……
……そんなキミだから。ボクはずっと、キミに “心” 惹かれていたんだ。
どんな姿をしていようとも、惑うことなくまっすぐに、ボクを “カービィ” として見てくれる……その瞳に。
(…恋を、していた……。)
彼の瞳は、変わらなかった。
元の姿に戻ってようやく自覚した、ボクの気持ちを伝えても。
初めての恋に右も左も分からず、戸惑ってばかりなボクを見ても。
…それまで、人を愛することが出来る事すら知らなかったボクを見ても。
そして―――『古の物語』を知っても……。
(彼を、奪われたくない……)
彼の大切な仲間たちから、彼を奪う気なんか、ない。
誰にも奪わせたくない。……闇の色をした、彼と同じ姿を映した者を思い出し、悔しさに涙が滲む――― 彼を傷付け、苦しめるものを、許したくなかった。
「ぜったいに、助けるから――――……」
生贄になんかさせるものか。……自分だけの悲しみに、身体を竦ませている場合じゃ、ない。
戦う事しか知らないのなら、今はそれでもいい。戦って、彼を取り戻すだけだ。
あの瞳に見つめられたかった。…見つめていたかった……。
ドロッチェが、好き。―――それだけでいい。
色褪せたメダルを握り締めて、カービィは顔を上げた。
―――再び、決戦の地……ネクロネビュラが、目の前に広がっていた。
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カービィが少し思い詰めている感じなのは、ドロッチェに対して、恋をしていても本当にいいのかと悩んでいた時期だから…です。でも、とにかくドロッチェを助けたい、自分の事はそのあとでいい、と目の前の戦いに意識を集中させようとしている。 うちのカービィ、恋愛に関しては不器用というか意地っ張りになる部分があるので…。(汗)
先にも言っていますが、この老人ドクロンは、この時ドロッチェにやられたキズのためネクロネビュラでは最前線に出る事はなく、生き延びてしまっています。そのため、カービィにというよりドロッチェに対しての負の感情をどんどん募らせてしまった結果、「死神」というドクロンとしても独自のパワーアップを遂げてしまうことになります。
ポポポアイランズでのこのドクロンとの話はここまで。この時期の話で出したいものはだいたい出せたと思うのだけれど…… その後の話(復活ドクロ団編)は、ほとんど書いた部分がないから、どうしようかな。