2019年5月11日

あるドクロンとドロッチェの昔話

『あつめて』ストーリー追加創作設定。
 ドロッチェとドクロ団に、元から因縁があるのも面白いのではないか、というところから始まった創作設定です。とはいえボスのネクロディアスではなく、ドクロン(一番下の階級)の中の一人との因縁話になりましたが。

 昔、ドロッチェが団員たちと離れて単独行動していた際に、ドクロ団が支配する領域に一人だけで迷い込んでしまったことがあった。
 侵入者は排除しようとするドクロンたちの中で、唯一、気まぐれを起こしてドロッチェを領域から脱出できるよう手助けしてくれたドクロンがいた。 というお話。

 まだ書いていなかったこのあたりの設定を、とりあえず書き出してみました。ダイジェスト+使いたいセリフ集といったところ。

(▼!注意▼)
 話の都合上、途中で(元モデルが特に居ない)放浪の医者という完全創作キャラが登場します。名前はまだ考えていません。
 前半、半分スピンが主役になっています。
 ドクロンの話のはずが、半分、スピンが両目に抱えていた病気を治してもらう時の話も組み込んでます。そして、書いてる奴の認識では、ドク×スピンが本格的になってくるあたりのお話なので……ちょっと腐向け。 まだ家族愛で通るレベルだと思うのだけど。

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 ドロッチェ団が宇宙へと旅立ち、皆がだんだん宇宙暮らしにも慣れてきた頃。
 スピンが患っていた眼の病気が悪化し始める。本人は、役立たずになるくらいなら捨てて欲しい、このまま視力を失っても構わないと言い張るが、痛みでろくに動く事もできないのにかたくなに意地を張るスピンを、ドロッチェは決して見放そうとしなかった。
 盗賊としての素性を隠して旅芸人の一団を名乗り、どこかの惑星に一時的に滞在して、スピンを近くの病院へ入院させる事ができた。それなりの設備を誇るその病院でもスピンの治療は叶わなかったが、宇宙規模で名医と名高い医者の存在を教えてもらえる。
 特定の病院に勤める事はなく、宇宙じゅうを放浪してその腕を振るっているそうだが、腕前は確かなもの。ただし風来坊で、唐突に辺鄙な惑星にふらりと訪れては人々を癒してまたふらりと去っていく、という風変わりな行動力の高さでも有名らしい。つまり今現在この宇宙のどこに居るのかが分からない。
 それでも、彼であれば他の医者が匙を投げたスピンの病気も治せるのではないかと、ドロッチェたちはしばらく本業を休んでその名医を探す事にした。ドクはスピンの主治医として彼の傍で支えながら、病院側と交渉を続け、ドロッチェはわずかな手がかりを元に放浪の医者を探して宇宙じゅうを飛び回った。ストロンとチューリンたちは彼らの盗賊という素性がバレてしまわないように、街の郊外にテントを構えた休業中の旅芸人の一座として振る舞いながら、ドロッチェをサポートする。
 だがある時から、単独行動中のドロッチェからの連絡が途絶え、現在位置も把握できなくなってしまう。
 スピンが無理な意地を張りながら心の底で怯えていた、役に立たないからと捨てられてしまう恐怖よりも、本当はもっと心から怖れていた事態。それは、敬愛する団長が自分のせいで危険な目に遭ってしまう事……。ドロッチェが行方不明になったと知らされたスピンは「僕の事なんか放っておいてくれたらよかったのに」と泣き叫ぶ。自分が、自分自身よりもずっとずっと大切な存在である団長を危険にさらしてしまったなんて、スピンには耐えられなかった。そんな彼を、ドクは、自分のほうこそ震えながら、必死で説得する。
「苦しいなら、怖いのなら、我慢しなくていい、そう言ってくれ。……あいつの前では、弱った姿を見せる事ができなくても…私にだけは、我慢しなくていい。苦しいのなら苦しいと、いつだって言っていいんだ。お前の本当の言葉を、本当の苦しさを、さらけ出してくれていいんだよ。
 …だけど、どうか……あいつのことだけは、信じてやってくれ。あいつは、ドロッチェは、決してお前を見捨てない。必ず帰ってくると…帰ってきてくれると……私は……信じている…。…だからお前も、……それだけは絶対に、信じてくれ。……頼む……」

 子供の頃、実の両親の悲しむ顔を見たくなくて、いつの間にかどんな苦しみに襲われても泣き言を言わない、言えなくなってしまっていた少年。諦められてしまう事を怖れるあまり自分から逃げ出した先で、新たに、迎え入れられてしまった新しい家族……何も持っていなかった少年に『夢を見ること、夢を追うことの大切さ』を教えてくれた彼を信じて付いてきながらも、今ではその憧れの存在に、「弱い自分」を知られてしまう事を怖れるようになってしまっていた。……なのに。
 弱さを隠さなくていい、ただ、信じる事を諦めないでくれと、ドクは言うのだ。

 そしてスピンは、ドクの言葉を信じ、ドクと共にドロッチェを信じる事を決めた。
 目的の医者が見つからなくたっていい、ただひたすら、ドロッチェが無事でいてくれたなら…。


 ……数日後、ドロッチェからの新しい通信が彼らの元に届いた。
 すまない、心配をかけた、すぐにそちらに戻る……と。



 ドロッチェの行方が分からなくなってしまったのは、宇宙の嵐を避けて進んでいるうちに方向を誤り、謎の宙域とされていた『暗黒領域』ネクロネビュラに迷い込んでしまったせいだった。
 暗闇に支配された空間を、どうやらそこに住まう者たちらしい何者かの敵意に満ちた視線を避けて逃げ回っているうち、ドロッチェは幸運にも、怖ろし気な外見の割に友好的な態度を示してくれる人物に出会った。
「……おやおや。珍しいねぇ、迷子かい?」
 敵意を向けてくる者たちに比べるとどうやら年かさらしい、ドクロ顔のその人は、同族だろう闇の底の住人たちからドロッチェを庇い、この領域から出る方法を教えてくれたのだった。
「―――ほら。ここからなら、遠くに、うっすら明かりが見えるだろう? そこへ向かって真っ直ぐに向かうんだ、決して脇に目を取られてはいけないよ。さすがにこれ以上のお節介は、私が怒られてしまいそうだからねぇ。
 これに懲りたら、もうこんな闇の底に近づこうだなんて考えない事だね、小さな旅人さん?」
「…… ドロッチェ、だ」
 ほんのり不満げな声になりつつもドロッチェが名乗ると、その人はクスクスと笑い声を立てた。
「私のことは、ドクロンでいいよ」
 それは、ドロッチェには初めて聞いた名前だった。
 ドクロンと名乗った老人は、ほら、とドロッチェの背を押した。
「じゃあね、ドロッチェ。
 ……二度と会う事がないように、闇の底で祈っているよ―――」


 老人の言葉の通り、真っ直ぐに進んだドロッチェはネクロネビュラを脱出し、暗闇の中では使えなくなっていた通信機器も息を吹き返す。そしてドロッチェは、彼を待つ仲間たちの元へと無事に戻る事ができたのだった。
 その後、改めて情報を集め、ドロッチェは今度こそ探していた放浪の医者を見つけ出して、仲間を助けて欲しいと頼み込んだ。名医と呼ばれる彼でも難しい手術になると言われつつも、手術は無事に成功し、スピンはついに長く患っていた病から解放される。退院までには少し時間が掛かったが、その間にも代わるがわる病室を訪れては泣きながら本当に喜んでくれるチューリンたちの様子に、スピンも、生まれて初めて、ようやく本当に自分を祝福してあげることが出来る気がした。
 スピンが退院できるまでの間、どうも彼らの本業に薄々気付いているらしい放浪の医者に「あったほうが便利だよ」と勧められ、実は資格を持っていなかったドクに、どういうコネなのかこちらの正体がバレないようにしつつ正式な医師免許を取らせてくれたり、いろいろと世話になる。(ドクは医学が専門ではなかったので、ほとんど独学だった)
 そちらが落ち着いてきた頃、ドロッチェはドクと共に、あの時迷い込んだ『暗黒領域』と「ドクロン」について調べ始めた。


 ドクロン……ドクロ団については、いくら調べてもほとんど資料が見つからないぐらいに難航したが、ほんのわずか、辺境の地に伝わる言い伝えのような形で「黒いもやを纏うドクロ姿の使者」の伝承を見つける。その昔には宇宙に満ちる「魂の流れ」の管理を任されていたと言う、今では忘れ去られた、闇の底に暮らす住人たち…。
 結局、まるでおとぎ話の世界のような情報しか集められなかったが、ネクロネビュラでの出来事は、ドロッチェが実際にその身で体感した事だった。……あの、気まぐれに助けてくれた老人ドクロンに出会えなかったら、もしかしたら今でもドロッチェはあの領域から脱出する事もできずに彷徨い続け、こうして仲間たちの元へ帰る事もできなかったかもしれない…。あのドクロンにとってはただの気まぐれでも、ドロッチェにとって彼は、ドロッチェ自身を救い彼の大切な仲間たちを守ってくれた恩人だった。


 ドクロンたちの存在を頭の片隅に残しながらも、ドロッチェは無事退院できたスピンや仲間たちを連れて、新たな旅へと出発する。
 やがて…… トリプルスターと出会い、『大いなるチカラ』を求めた戦いを経て、闇の民ダークゼロに受けた傷を癒すためしばらくの間惑星ポップスターから離れていたドロッチェは、「ネクロディアス率いるドクロ団がポップスター侵攻を企てている」という情報を入手。古い因縁のあるその名と、自分を救ってくれたあの戦士が守る星の名に突き動かされ、ドロッチェは再びポップスターに降り立つ事を決意する。


 ポップスターのポポポアイランズにて、ドロッチェは、あの時助けてくれた老人ドクロンと再会する。もう決して相容れる事のできない、「侵略者の手先」と「星を守る戦士の協力者」として。


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 この老人ドクロンは『あつめて』作中では最後まで生き延び、のちに復讐者「死神ドクロン」へと変貌して再度ドロッチェを襲う、というキャラクターにしていくつもりです。
 ドクロンたちの設定、実はまだ決まっていないところが多いです…(種族名をドクロンにするか、ドクロ団という名前をどこまで使うか、も含めて)。
 ダークマター一族とは別の闇の民の一派で、ゼロ率いるダークマター一族に組み込まれてしまわないように、あえて平穏を破りポップスター侵攻を企てた……という感じ、なのですが。 あばうと。
 ネクロディアスとドロッチェのボス同士の因縁は、これよりも後に始まる感じです。

 そして、ドクスピは…このドロッチェが行方不明になった時に、自分のほうこそ怖くて泣きたいくせに、ずっと傍で支えてくれたドクの存在が、だんだん特別なものとなっていく…というのがスピン側のだいたいの流れ、です。ただ、ドク側はここでスピンを惚れ込ませてしまったという事にいまだに気付いてないと言う。
 というかドクスピと言いつつ、二人とも「最愛の人はドロッチェ」という点では同士、でもあります。(二人ともそこは譲れないらしい)
 この時お世話になった放浪の医者さんは、その後も彼らが盗賊団であるともちろん気付いているのに気にせず、単純に以前治療した患者とその家族、という接し方をしてくれる、割とくせもので変わり者というイメージの人物です。……しかし…カービィシリーズの医者っぽいキャラにちょうど良さそうな人物が思い付かなくて、困ってます…。 さすがに、アニメ版のヤブイさんは、インパクトあり過ぎて無理だと思うので。ケミトリィもH社以外では働いて無さそうだしなぁ…。

 ドロッチェがネクロネビュラに迷い込んでしまったのが、スピンを治してくれる放浪の医者を探していた時、というのを先に決めていたのでまとめて書き出したけれど、実際には老人ドクロンとの出会いの場面だけをドロッチェの回想として使う事になると思う。