ぴくしぶ投稿済『ハロウィン小話』
初稿 2.ギャラドロ編
ハロウィン小ネタ第2弾。
★ギャラクティックナイト×ドロシア
カップリングと言うよりは仲の良い友人同士ですが…。
基礎設定:どちらもカービィらぶ。ドロシアさんは秘めた恋心だけど、Gさんの場合は疑似親子のような、疑似師弟のような愛。
★☆★ ☆★☆ ★☆★
プププランドの外れ、人里離れた森の奥に、ひっそりと彼女の居城は在った。
10年近く前、突如として現れたこの小さな城の存在を、知っている者は多くはない。女主人の古い記憶を元に造られた……“描かれた”と言うその城は、まるでずっと昔からこの地に存在していたかのごとく、深く暗い森の風景に溶け込み、調和している。
時に取り残されたかのように、「絵画のように」静かに佇むその城は、しかし決して、忘れ去られた存在などではなく―――むしろごく最近、新たな住人が増えたと言われており、そのためか以前に比べると、どことなく明るい空気を纏い始めている―――この祭の夜にもまた、何者かがその扉を叩いていた。
――― ごん、ごん。
「―――来たわね。…ふふ、一番乗りはどなたかしら?」
森の外にも日暮れが訪れる頃。
城門のノッカーを叩く鈍い音が響き、女主人ドロシアは、穏やかな笑みを浮かべて席を立った。
もうずいぶん前になるが、この城を建てて間もない頃に、恩人・カービィが友人たちを引き連れて襲撃してきた時は、ハロウィンの習慣も知らなかったためにひどいパニックを起こして、彼に多大な迷惑を掛けてしまった。その時の事はカービィもとても反省したようで、以来、彼女の普段の穏やかな生活を乱さない程度にお邪魔するように心掛けてくれている。
むしろ、その一件をきっかけに、現代はどんな催し物がされているのかをきちんとチェックするようになったドロシアとしては、カービィの心遣いがほんのり物足りない気分になっていることは秘密だ。
テーブルの上に用意しておいたお菓子入れをひとつ掴み、彼女にしては早足気味に、城のエントランスホールへと向かう。一応は知人ではない場合のことも考えて、ひとつ深呼吸してから、門に向かって手をかざすと、重厚な扉がゆっくりと音を軋ませて開き始めた。
「はい。どなたかしら……」
どんな仮装が来ても驚かないぞ、と密かに気合いを入れながら門を開いたドロシアは、しかし次の瞬間、予想外の訪問者に思わず眼を丸くしてしまった。
「夜分の突然の訪問、恐れ入る。
―――その、お菓子を頂けるだろうか。…それとも、“いたずら”…? をご所望だろうか?」
…たどたどしく、どことなく世間一般とずれた挨拶をして来たのは、ドロシアのよく知る友人のひとり―――
まず目に付いたのは、乏しい灯りの中でも明るく映える、純白の翼。…の、間にちょこんと突き出ている、三角帽子。その下は普段と同じ仮面だったが、肩当てからは、ずるずると長い布が垂らされて足元を覆い隠している。暗めの紫を基調にした衣装は、ちょっとだけ、ドロシアの普段の姿に似せて作られているような気もする。
極めつけに、その右手には、星型の飾りが付いた短めのステッキ。十字の切り込みから見える赤い瞳が、今まで見た事がないくらいキラキラと輝いていた。どうやら、滅多にしない仮装に軽く興奮しているらしい……。
思いがけない格好とその少年のような瞳の輝きに、つい吹き出してしまい。ドロシアは慌てて後ろを向いて口元を押さえたが、笑いの発作は止まらず、大きく肩を震わせた。
「…えっ。え、あ、あの…な、何か間違えてしまっただろうかっ!? …それとも、やはりおかしかっただろうか…。マホロアは意外と似合っていると言ってくれたが、マルク殿は隣で大笑いしていたし……」
…なるほど、あの二人が仮装の手伝いをしてくれたらしい。内心の笑いを堪えて調子のいい言葉を並べるマホロアと、我慢できずに笑い転げるマルクの姿が目に浮かぶようだ。
ドロシアは眼に滲んだ涙を拭いつつ、「いいえ、いいえごめんなさい」と必死に謝りながら振り返ったが、ギャラクティックナイトは目に見えてしょんぼりと、ずるずるした衣装の裾を摘み上げて寂しげに呟いた。
「…ハロウィンの習慣を聞いて、未知の存在になれるのならと、現役魔法使いのお二人の意見を参考に『魔法使いの仮装』をやってみようと思ったのだが……。 …やはり、私のような無骨者に、魔法使いなんて知的な存在は、格好だけでも似合わないな……」
「……あらあら。…もう、そんなことありませんってば。本当にごめんなさい、だって、まさか貴方が仮装する側になるとは思いもしなかったのですもの。…ええ、ちゃんと雰囲気出ていますわ。さ、どうぞお入りになって。お菓子を差し上げますから、イタズラは、なさらないで下さいね。……それにしても、貴方、『魔法使い』たちにそんなイメージを抱いていたのですか?」
ほんの少しだけ呆れたりもしながら、笑いすぎて乱れた長髪をつい、と押さえて整え、どうやら一人で来たらしいギャラクティックナイトを城の中に迎え入れる。
一応、手には訪問者に渡す用のお菓子を持って来ていたが、ドロシアはちょっとだけ考え込んだ末に、彼を城の居間に招くことにした。
「せっかく、このような辺境にまで一番乗りで来て下さったのですから。特別に焼いたお菓子をお出ししますわ。お時間があれば、ですけれど……」
「あ、ああ。では、ありがたく。…その、情けない話だが私の知っている中で、家を訪ねても居てくれそうな人が、メタナイトかドロシア殿しか思い浮かばなくて…」
「まあ…。…ふふ、そうですね、カービィは仮装して回るほうが性に合うでしょうから。大王さまも今日は忙しいでしょうし…。マルクやマホロアたちも?」
真っ先に候補のひとつに挙げてくれていたことを密かに嬉しく感じつつ、知っている中で彼と特に親しい人物を挙げてみる。ギャラクティックナイトは結構頻繁にマルクの隠れ家にも顔を出していると聞いていたし、マホロアは定住こそしていないが、普段生活している愛船ローアは割と目立つので、居場所は分かりやすい筈だ。
「ああ、マホロアはカービィを追い掛けて一緒に行くと言っていたし、マルク殿も、楽しそうに出掛けて行ったので」
「…それは、物騒ですね」
「え、そう…だろうか?」
考えてみれば、どちらも、全力でイタズラを楽しみそうな二人だ。この不思議な祭の夜を、楽しまない理由はないだろう。どうか危険な事件だけは起こさないように、とこっそり祈っておく。
やっぱりどこかずれたところのある翼持つ騎士は、ちょっと首を傾げたりしながら、慣れない衣装に足を取られないよう慎重に、ドロシアが示してくれた席に着いた。
ドロシアは「少し待っていて下さいね」と一声掛けて、自ら台所へと向かい、紅茶の用意を整え、自身に似せた小さな召使いことパラ・ソーサレスを呼び寄せた。召使いに紅茶を運ばせて、テーブルの上のお菓子とは別に特別に焼いておいたアップルパイを取り出し、切り分ける。…本当はカービィが今年も来てくれたら振る舞うつもりで焼いたものだったけれども、ギャラクティックナイトも、彼女にとっては『特別なお客様』であることには違いはない。となれば、早い者勝ち、である。
「ごめんね」とこっそり心の中でカービィに謝って、二人分の皿に盛り付け、召使いたちに運ばせる。居間に戻ると、先に紅茶を運んできた召使いに、にこやかにお礼を言っているギャラクティックナイトの姿が目に入ってきた。…言葉を喋る機能を持たせていない使い魔の一体でしかないことも気にしないで、気さくに接してくれるその姿は、いつだったかのカービィに、不思議とよく似ていた。
なんだかくすぐったいような気持ちを感じながら、ドロシアも席に着く。
「―――お待たせしました。どうぞ、召し上がれ」
「かたじけない。―――いただきます。」
ギャラクティックナイトがドロシアに向き直り、丁寧に一礼する。次に誰かがこの城を訪れるまでほんのささやかな時間、皆には内緒の楽しいティータイムが始まった。
―― ★☆★ ――
「…そういえば。今日は、ペインシア殿は?」
「ハロウィンのことを教えてあげたら、「わたしも参加したい~!」…と言って元気よく飛び出して行きましたよ。私は、人が訪ねてくれるのを待つほうが楽しいので、残りましたけれどね。…あと、このアップルパイを焼いたことはあの子には言っていないので、内緒にしておいて下さいね♪」
いたずらっぽく、かつ上品に微笑みを浮かべながら、こっそりとお客様を共犯に巻き込む悪い魔女なお姉さんであった。……同時刻、プププランドのどこかでは、小さな魔女の可愛らしいくしゃみ(と、同時にうっかり飛び散らした絵の具の音)が響いていたとか。
☆★☆ ★☆★ ☆★☆
(追加修正:10/31、11/06)
『目覚めたミライは優しいセカイ』
ソーサレス形態のおともはパラマターじゃなくてパラソーサレスでした(汗) 先に調べようよ自分。たぶん同一の使い魔だと思うけれど。
珍しくドロカビ以外に手を出してみました。(と言いつつドロカビ前提の設定なのですが。このお二人。)
どちらも古代ポップスターの出身で(ドロシアは描かれた時代で、自我を持ったのはもう少し後の時代)、いろいろあってカービィのことが大好きで、でも世俗とは離れて、残る時間を穏やかに暮らそうとしている、などいくつか共通する点があって、意気投合してよくお喋りしたりお土産を贈ったりする仲になった…そうです。(ざっくりすぎる解説)
★☆★ ☆★☆ ★☆★
おまけ 使うかどうか迷い中の表現:
密かに想いを寄せている心優しき“わかもの”に、姿形だけでなく、不思議とよく似ていた。
密かな憧れを抱くカービィと、姿形だけでなく、不思議とよく似ていた。
目の前の、古代からの眠りより覚めてまだ間もない戦士と、現代の星空を駆け巡る小さな戦士との本当の関係を、彼女はすべて知っている訳ではなかったけれど。
…親子だと誤解されるのも、致し方ないことだろう。
…表現がどんどんクドくなっていく…!(苦笑) いらないかなコレは…(汗)