2014年10月25日

はろーはろー、うぃんうぃーん!

ぴくしぶ投稿済『ハロウィン小話』
初稿 1.ドロカビ編

 ハロウィンにこじつけた小話 まとまっていないまとめ
(!注意)ドロッチェ×カービィ、恋人同士です。

☆★☆ ★☆★ ☆★☆


「「 Happy HALLOWEEN!! 」」


 ハロウィン……それは、街中に巨大なカボチャと甘~くて美味しい沢山のお菓子があふれかえる日。(※ちょっと違う)
 いつもはのんびりとした空気に包まれているプププランドだが、この日ばかりは日暮れと共に、あちこちで奇妙な格好をした住人たちが出没して、怪しい賑やかさを振り撒き始める。
 もちろん我らがカービィだって例外ではない、「お菓子をくれなきゃ、イタズラしちゃうぞ」という決まり文句で練り歩く今夜のイベントは、まさにカービィのためにあるようなもの。むしろ普段の暮らしぶりと何も変わらないような気もすると言うのは禁句だ。
 いや、普段とは明らかに違う点が一つある。ハロウィン独特の習慣、おばけの“仮装”だ。
 気が向いたイベントには妙にこだわった情熱ぶりを見せるカービィである。今夜のハロウィンのための仮装も、しっかりと用意していた。

「トリック・オア・トリート! お菓子をくれなきゃ、このカボチャの魔王が怖~い魔法を掛けちゃうぞ~★ …ってね♪」

 王冠を被せた大きなカボチャを頭に乗せたカービィが、オレンジ色のマントをはためかせて、先端にカボチャの飾りが付いた短いステッキを振りかざした。どうやら今年の仮装はカボチャをモチーフにしたおばけ、『カボチャの魔王』らしい。
 くるりと一回転して仕上がりを確かめ、満足気に頷くと、カービィは意気揚々と家を飛び出して行った。


 …今年は、何より、楽しみな事が一つ、増えたのだ。
 わくわくとした足取りは、自然に“内緒の恋人”の元へと向かっていた。


―― ★☆★ ――


「それじゃ、皆も楽しんで行ってね! ハッピー・ハロウィーン!」
「ちゅー! ちゅちゅーっ!(はっぴー、はろうぃーん!)」

 ドロッチェ団のアジトに立ち寄ったカービィは、そこで沢山のチュー血鬼……小さなキバと黒いコウモリを模した羽を身に着け、吸血鬼の仮装をしたチューリンたちにあっという間に取り囲まれ、大量にお菓子をせがまれる破目になってしまった。
 貰ったお菓子を嬉しそうに囲むチューリンたちの姿は微笑ましくもあったけれど、急に軽くなった戦利品入れ、もとい持参のお菓子袋に、ちょっぴり切ない涙を流すカービィであった。

「……でも、ドロッチェは見つけられなかったなぁ……。どこに行ってるんだろう…?」
 アジトに居たのはチューリンたちだけで、お菓子を貰おうと企んでいた幹部の三人や、団長のドロッチェは姿を現さなかった。…どうも完全に罠に掛かってしまった気がする。
 それはそれとして、本来の目的であったドロッチェにも会えなかった事に、カービィはひっそり寂しい気持ちを抱いていた。
 せっかくの華々しい魔王の仮装をしている事も忘れて、しょんぼりとした足取りでドロッチェ団のアジトから離れてゆくカービィ。―――その背後に音も無く忍び寄った影から伸ばされた手が、唐突にカービィの口を塞いだ。

「……っ!?」

 反応する暇も与えず、もう片方の手でカービィの軽い身体を抱え上げると、一気に近くの茂みの中へと引き摺り込む。仮装のマントや被り物のお蔭で直接身体にぶつかる事はなかったものの、カービィの背後でガサガサっ、と枝や葉を掻き分ける激しい音が響いた。
 茂みが途切れたらしく、今度は、ふわりと地面に背中が押し付けられる。口元を塞がれたまま、大きな瞳を見開いて見上げてくるカービィの姿に、茂みに引き摺り込んだ男が、唇の端を吊り上げるようにして笑う。

「…Happy,HALLOWEEN… … 可愛くて、美味しそうなカボチャの魔王様」

 普段とは違い、悪霊のような顔が描かれた黒い三角帽子に、飾りの付いた黒いマント。襟元の鈴はいつも通りだが、その周りを幾つもの鋭い牙が飾り立てていた。若干の禍々しさを感じる衣装と、ちらりと見えた背後の木に立て掛けてある大鎌。……『死神』の仮装でカービィに襲い掛かってきたこの男こそ、カービィが一番会いたいと思っていた秘密の恋人、ドロッチェだった。
 押さえていた手を緩め、ドロッチェはニヤリと笑みを浮かべて、押し倒した格好のカービィに向かって囁く。

「―――さて……、…それでは、甘いお菓子を頂こうか?」

 カービィは、ぽかんとした顔でドロッチェを見上げた。見惚れていたのもあるが、言われた言葉の意味をようやく理解して、カービィはさらに眼を丸くする。

「……え……、…ぇえええええッ!?  …き、キミ…“そっち”なの!?」

 ドロッチェからお菓子を貰う気満々だったカービィとしては、この展開は予想だにしていなかった。慌てるカービィに、ドロッチェはむしろ堂々と。

「なんだ。何か文句でもあるのか?」

 ――いや、完璧に不意打ちをくらった側としては、文句の付けようも無いんですが…。きっぱりと言い切られ、カービィは口籠もってしまった。

「どうした? ほら。―――“Trick or treat”?」
「……う……、」

 お菓子をくれなきゃ、イタズラするぞ―――からかうように、ドロッチェの鋭い爪の先が、カービィの火照ったほっぺたの表面だけをくすぐる。

( ――お菓子、あんまり残ってないし…。…それより……っ)

 ぐっ、と、何かの決意を固めたようにカービィが顔を上げる。
 楽しそうな笑みを浮かべて待ち構えるドロッチェにおずおずと近付き、身体を伸ばして……彼の唇を、自分の唇で塞いだ。

「……んっ…」

 カービィのほうから、与えるキス―――ドロッチェは抵抗もせずに受け止める。眼は閉じてしまったけれど、ドロッチェが微笑んでくれている気配が見えなくても伝わってきて、カービィの小さな身体はさらに熱く火照ってしまった。
 緊張につい身体が竦んで離れてしまいそうになるのを堪え、さらに押し付けるように背を伸ばす。普段とは違う仮装のために重心がずれて、ふらつきそうになった丸い身体を、いつの間にか回されたドロッチェの手が、しっかりと支えてくれていた。そのぬくもりに気付いたカービィは、なんだか安堵に包まれて、少しずつ大胆になってきた。
 お互いの交じり合った唾液を飲み込んで、唇が離れる。
 近頃めっきり涼しくなってきた大気を荒く吸い込んだ途端、急に恥ずかしさが込み上げてきたようで、カービィは赤くなった顔に片手で口元を隠しながら、ちらっ、と無意識の上目遣いでドロッチェを見る。

「………あ…、…甘い?」

 ドロッチェもまた、すっかり朱の差した顔にゆっくりと優しい微笑みを浮かべて、カービィを抱き寄せた。

「…ああ。 最高の“甘菓子(Treat)”だな」




「――で、これはオレからの菓子だ」

 どんなお菓子よりも甘い甘い可愛くて素敵な恋人を、ぎゅーっと抱きしめて幸せを共有した後。ドロッチェは背後に置いていた仮装用の鎌に手を伸ばすと、その先に引っ掛けていたらしいバスケットを、器用に引き寄せてカービィに手渡した。
 蓋を開けば、ふんわりと甘い香りが広がる。きれいに焼かれて納まっていた焼き菓子に、ついついいつもの調子で目を輝かせるカービィに、ぱちん、とウィンクを飛ばして、ドロッチェが言う。
「これで、お互いイタズラは無し、だな」
 その言葉に、ぴたりとカービィの動きが止まる。

 …それはそれで寂しいような…。なんてことを思ってしまうハロウィン・ナイト。―――魔性の夜。


 クスクス……。…気付けば、ドロッチェがいたずらっぽい笑みを浮かべて、ずれかけていた魔王のカボチャを被り直させながら、カービィの顔を覗き込んでいた。

「まだ、祭は始まったばかりだろ? もっと楽しんで来たらいい」

 そして、ぐっと顔を近づけ、カービィにしか聞こえない低い声で、甘く囁く。


「―――後で落ち合おう。…二人で、な」

「……っ、…うん!」



~~ HAPPY,HALLOWEEN!! ――魔性のHalloween night ~~


★☆★ ☆★☆ ★☆★

 12,10,31~ 14,10,25加筆.追加修正:27、31
 盗賊な死神さんと勇者な魔王さま

 とりあえず趣味に走ったドロカビはろうぃん。2年程前に突発的に書いたものをようやく手直し。
ドロッチェが定番な吸血鬼じゃなくて死神衣装なのは、個人的な趣味を含むもろもろのこだわりです。でも最後まで仮装しっぱなしだったこと途中で忘れかけてた。